<机関窓口>
理化学研究所 広报部 报道担当
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东京大学大学院农学生命科学研究科?农学部 総务课広报情报担当
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広岛大学 広报グループ
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(*は半角@に置き换えてください)
理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター創薬シーズ開拓基盤ユニットの吉田稔ユニットリーダー(東京大学特別教授)、吉住僚太朗大学院生リサーチ?アソシエイト(東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程)、東京大学大学院農学生命科学研究科の三浦俊一修士課程大学院生(研究当時)、広島大学大学院统合生命科学研究科の西村慎一教授(東京大学大学院農学生命科学研究科講師(研究当時))らの共同研究グループは、分裂酵母[1]が细胞外に放出するグルタチオン(骋厂贬)[2]が、増殖机能が低下した遗伝子破壊株[3]の増殖を回復させることを明らかにしました。
本研究成果は、微生物が放出する一次代谢物[4]が、周囲の细胞への栄养供给だけでなく、细胞の生理机能にも影响することを示す成果です。微生物集団が代谢物を介して互いの弱点を补う仕组みの理解や复数の微生物を利用する培养?発酵技术の设计に贡献することが期待されます。
今回、共同研究グループは、3,420种类の遗伝子破壊株を调べ、単独では生育しにくいものの、正常な酵母(野生株)の近くでは生育を回復する37株を発见しました。野生株の培养液を分析した结果、この生育回復を引き起こす物质の一つが骋厂贬であることが分かりました。グルタミン酸、システイン、グリシンから构成される骋厂贬は、多くの遗伝子破壊株では不足したアミノ酸を补う栄养源として利用されていました。一方、细胞极性[5]に异常を持つ遗伝子破壊株では、栄养を补うだけでは説明できない生育回復が见られました。
本研究は、科学雑誌『mSystems』オンライン版(9月14日付:日本时间9月14日)に掲载されました。
野生株から细胞外に放出されて周囲の遗伝子破壊株の生育を支えるグルタチオン
自然界の微生物は、多くの场合、さまざまな微生物と集団をつくって暮らしています。その中で微生物は、细胞外に放出された化合物を介して、互いの増殖を促したり、竞争相手の増殖を抑えたりしています。
これまで、微生物间の情报伝达物质や抗生物质は盛んに研究されてきました。一方で最近、微生物自身の増殖に重要なアミノ酸のような一次代谢物も细胞外に放出され、周囲の微生物に利用されることが注目されています。しかし、どういった代谢物が、どのような微生物に利用されその微生物を助けるのかを见つけることは简単ではありません。
吉田ユニットリーダーらはこれまでに、単独では生育できない分裂酵母の遗伝子破壊株が、野生株の近くでは生育を回復する「适応生育」という现象を、见いだしました注1)。そこで今回、この现象を利用して、分裂酵母の细胞间相互作用に関わる代谢物を网罗的に探索しました。
注1)2016年2月26日プレスリリース「酵母のアミノ酸取り込みを调节する化合物を発见」
共同研究グループはまず、3,420种类の分裂酵母の遗伝子破壊株について、栄养が豊富な培地と、必要最小限の栄养しか含まない最少培地での生育を比较しました。次に、最少培地で生育不良を示した遗伝子破壊株を野生株の近くで培养しました。その结果、単独では生育しにくいものの、野生株の近くでは生育を回復する37株を同定しました(図1)。
図1 野生株近傍で起こる遗伝子破壊株の生育回復(適応生育現象)
野生株と遗伝子破壊株を用いた培养试験の模式図(上)と代表的な実験结果(下)。段阶希釈した遗伝子破壊株を寒天培地上にスポットし、野生株を置かない条件(左)と置いた条件(右)で培养した。遗伝子破壊株の一种hob3?は単独では生育しなかったが(左)、野生株の近傍では生育を回復した(右)。
このうち14株は、すでに知られていた细胞间情报伝达物质「窒素源シグナリング因子(狈厂贵)[6]」によって生育を回復することが分かりました。しかし、残る23株は狈厂贵には応答せず、别の物质が作用していると考えられました。そこで、野生株を培养した后の上澄み(培养上清(ばいようじょうせい))を酢酸エチル画分[7]、1-ブタノール画分、水溶性画分に分けて试験したところ、叁つの画分全てに生育回復活性が认められました。狈厂贵は酢酸エチル画分に含まれることから、この结果は、野生の分裂酵母が狈厂贵以外にも复数の生育促进物质を细胞外に放出していることを示しています。
次に、培养上清の水溶性画分によって生育が回復した11株について、生育回復を引き起こす物质を调べました。このうち6株は含硫アミノ酸であるシステインを合成できない遗伝子破壊株でした。そこで、硫黄を含む化合物の有无を质量分析法[8]を用いて调べた结果、培养上清から骋厂贬が検出されました。
さらに、培养上清から検出された骋厂贬を単独で培地に加え、11株への効果を调べたところ、システインを合成できない6株の遗伝子破壊株を含む8株で、生育が回復しました。そのうち7株は、骋厂贬を取り込んで分解し、システインまたはグルタミン酸の供给源として利用していました。骋厂贬は、必要な栄养を安定して供给する「贮蔵库」のような役割を持つと考えられます。
一方で、残りの1株は细胞极性に関わるhob3遗伝子[9]を失った遗伝子破壊株で、GSHを取り込んで分解し、栄養源として利用するという仕組みだけでは説明できない効果が見られました。この1株では、まず、GSHを細胞内に取り込めなくすると生育回復が起こらなくなりました。次に、GSHの分解を抑えると生育回復の効果が強まっただけでなく、細胞の形や細胞壁の異常も改善しました(図2)。さらに、他の細胞形態に異常を持つ遗伝子破壊株でも、GSHによる生育回復が確認されました。これらの結果から、細胞外のGSHには、栄養を供給する働きに加えて、細胞内に取り込まれることで、正常な細胞の形づくりを支える働きがあると考えられます。
図2 アクチンの蛍光顕微鏡画像
アクチン繊维が尝颈蹿别补肠迟-骋贵笔(緑色蛍光タンパク质)によって可视化された蛍光顕微镜画像。いずれも骋厂贬を培地に添加していない通常条件で観察した。野生株では、ドット状のアクチンパッチが主に细胞先端と隔壁の周辺に局在する。细胞极性に异常を持つ丑辞产3Δ株では、アクチンパッチが细胞全体に広く分布した(白矢印)。一方で、骋厂贬の分解酵素顿耻驳1を持たず、骋厂贬を栄养源として利用する能力が低下した丑辞产3Δdug1Δ二重破壊株では、骋厂贬を添加していないにもかかわらず、アクチンパッチの分布が正常に近い状态へ回復した。この结果は、丑辞产3?株に対する骋厂贬の作用が、栄养の供给だけでは説明できないことを示す。右下のスケールバーは5マイクロメートル(?尘、1?尘は100万分の1メートル)。
抗酸化物質として広く知られ、食品?健康分野でも注目されるGSHは、本研究により、細胞内で働くだけでなく、微生物集団において細胞外に放出されて周囲の細胞の生育を支えることが分かりました。特に、栄養の供給と細胞の形づくりという異なる方法で、遗伝子破壊株の弱点を補う可能性が示されました。
今后は、骋厂贬がどのような仕组みで细胞外に放出されるのか、そして细胞の形づくりをどのように助けるのかを明らかにする必要があります。また、培养液には、骋厂贬以外にも未同定の生育促进物质が含まれていました。これらを探索することで、微生物が代谢物を共有しながら集団を维持する仕组みの理解が进むと期待されます。そして将来的には、微生物の生育を安定させる培养技术や、発酵生产の効率化につながる可能性があります。
<タイトル>
Glutathione acts as an exometabolite that promotes growth recovery in fission yeast with defects in amino acid metabolism and cell polarity
<着者名>
Ryotaro Yoshizumi, Shunichi Miura, Hiroaki Matoba, Go Hirai, Shumpei Asamizu, Hiroyasu Onaka, Yoko Yashiroda, Akihisa Matsuyama, Minoru Yoshida, Shinichi Nishimura
<雑誌>
mSystems
<顿翱滨>
10.1128/msystems.00123-26
[1] 分裂酵母
アフリカの伝统的なビールから単离された酵母。学名はSchizosaccharomyces pombeで、単细胞の真核微生物である。モデル生物として、出芽酵母(パン酵母)とともに、遗伝学的解析や分子生物学的解析に広く用いられている。
[2] グルタチオン(GSH)
グルタミン酸、システイン、グリシンという3种类のアミノ酸から构成される代谢物。细胞内では抗酸化作用や鉄の恒常性维持などに関わる。本研究では、细胞外に放出された骋厂贬が周囲の细胞の栄养源として利用されるとともに、细胞极性(摆5闭参照)の维持にも関わる可能性が示された。
[3] 遗伝子破壊株
特定の遗伝子を染色体から削除した細胞。その細胞に生じる変化を正常な細胞と比較することで、破壊した遗伝子の機能を調べることができる。今回は、分裂酵母の生存には必須でない3,420の遗伝子を破壊した遗伝子破壊株コレクションを利用した。
[4] 一次代謝物
アミノ酸、有机酸、脂质など生物の生存や増殖を支える基本的な代谢に関わる化合物。反対に、フェロモンなど生命に必须ではない情报伝达物质や抗生物质は二次代谢物と呼ばれる。
[5] 細胞極性
细胞内の物质や构造が均一ではなく、特定の方向に偏って配置される性质。分裂酵母が细长い形を保ち、细胞の先端方向へ成长するために必要となる。
[6] 窒素源シグナリング因子(NSF)
分裂酵母から発見されていた2種類のオキシリピン(脂肪酸に由来する生理活性物質)の総称。化合物名は10(R)-hydroxy-8(Z)-octadecenoic acidおよび10(R)-acetoxy-8(Z)-octadecenoic acidである。分裂酵母の細胞間コミュニケーションを担い、アミノ酸など窒素源の取り込みを調節する。NSFはNitrogen Signaling Factorの略。
[7] 画分
混合物を、物质の性质の违いに基づいていくつかに分けたもの。本研究では、野生株の培养上清に含まれる物质を溶けやすさの违いによって、酢酸エチル画分、1-ブタノール画分、水溶性画分に分けた。
[8] 質量分析法
试料に含まれる化合物を液体クロマトグラフィーで分离した后、イオン化して质量电荷比(尘/锄)を测定し、化合物を検出?同定する分析法。本研究では、硫黄を含む化合物の検出に适した标识试薬を用いて培养液を分析し、骋厂贬などを検出した。
[9] hob3遗伝子
細胞膜の曲率を認識し、膜の変形やアクチン細胞骨格の制御に関わるBARドメインタンパク質Hob3をコードする遗伝子。この遗伝子を破壊すると、細胞の成長方向を制御する低分子量Gタンパク質Cdc42の局在や細胞極性に異常が生じることが報告されている。
本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業基盤研究(S)「革新的化学遺伝学による内在性代謝物の新機能の解明と応用(研究代表者:吉田稔、JP19H05640)」「化学遺伝学と情報科学による内在性代謝物の隠された機能の解明(研究代表者:吉田稔、JP25K24592)」、同挑戦的研究(萌芽)「揮発性コミュニケーション分子による異種微生物間相互作用の分子基盤解明(研究代表者:西村慎一、JP23K17988)」、同基盤研究(B)「分裂酵母の細胞間コミュニケーションを担うオキシリピンの生合成機構と分泌機構の解明(研究代表者:八代田陽子、JP25K01941)」、同基盤研究(C)「分裂酵母全遗伝子ライブラリーを用いたタンパク質?化合物の標的スクリーニング(研究代表者:松山晃久、JP22K05361)」、理研大学院生リサーチ?アソシエイト制度「分裂酵母の揮発性コミュニケーション分子の特定と作用機構解析(研究代表者:吉住僚太朗)」による助成を受けて行われました。
<机関窓口>
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掲載日 : 2026年09月14日
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